●契約書
契約書は、契約を締結する際に当事者間でその内容を記した書類のことです。
法律上は、保証契約などを除き、契約の成立には当事者間の口頭による合意があればよく、必ずしも契約書の作成は必要とはしません。
しかし、売買契約・賃貸借契約・金銭消費貸借契約などについては、その内容を明確にし後々のトラブル防止のために契約書を作成する必要があります。
この契約書を作成する際には、それが何の契約なのか、何を約束したのかを明確に記載することが重要となります。
また公序良俗違反(社会規範に反する内容違反)等に該当する場合などは、契約書(契約)自体が無効となります。
●契約の種類
売買契約:土地売買契約、建物売買契約、動産売買契約、継続的取引契約等
貸借契約:土地賃貸借契約、建物賃貸借契約、動産賃貸借契約、金銭消費賃貸契約、債務承認弁済契約等
担保契約:抵当権設定契約、質権設定契約、譲渡担保契約、保証契約等
贈与契約:停止条件付贈与契約、死因贈与契約等
委任契約・委託契約・請負契約:業務委託契約、事務委託契約、経営委託契約等
労働契約
示談契約・和解契約
知的財産契約:著作権契約、特許権通常実施権設定契約、商標権通常使用権設定契約等
代理店・特約店・フランチャイズ:販売店契約、代理店契約等
M&A契約(合併・買収):事業譲渡契約、株式譲渡契約、内部造作等売買契約(居抜き物件)
信託契約
任意後見契約
その他の契約:リース契約、秘密保持契約、債権譲渡契約、夫婦財産契約等
●契約書に記載すべき条項(契約書の一般条項)
契約期間:契約日、契約期間
履行期限:履行日、引渡日、履行期間(効力発生日と終了日)
契約当事者の表示
契約の目的
契約の内容
契約の対象物
不履行時の定め(解除・解約・違約金・損害賠償など)
期限の利益喪失に関する定め(一定の猶予期間(期限の利益)を、どのような場合に喪失させるかの定め)
保証・連帯保証
危険負担
(主に売買契約等で、契約日と引渡日が異なる場合など、その間に目的物が破損や滅失した場合にどちらがその損失(危険)を負担するかの定め)
瑕疵担保責任(目的物に瑕疵があり、契約の目的を果たせない場合などの定め)
諸費用の負担(目的物の引渡・運搬にかかる費用、登記費用、引渡までの保管費用、等の負担)
秘密保持(事業上の企業機密、発明・考案・意匠・著作、独自ノウハウ等、必要に応じて外部に公開することを禁じる旨の定め)
裁判管轄(契約の当事者間で紛争(トラブル)が生じた場合、第1審の管轄裁判所)
●契約書に記載してはならない条項(主要なもの)
公序良俗に反する条項は無効となります。(民法第90条)
公序良俗違反とは、人倫違反・正義道徳違反・人の窮状に乗じるもの・人権侵害、など、社会通念上許容されない事項のことをいいます。
強行法規の定めに違反している条項は、無効となります。
主要なものとしては、以下のようなものがあります。
(1)建物賃貸借契約に関する更新拒否による解約条項
※例:第○条 本件賃貸借期間の満了時、理由の如何を問わず、借主は貸主に建物を明け渡す。
建物の賃貸借契約においては、貸主から更新を拒絶したり解約を申し入れたりする場合には、正当な理由がなければ認められません。(借地借家法第28条)
(2)金銭消費貸借契約において、法に定める上限を超える高利の定め
(3)消費者に生じた損害の賠償責任を全部免除とする条項
※例:第○条 本件売渡物件より買主に損害が発生した場合、売主は一切の責任を負わないものとする。
消費者に生じた損害の賠償責任を全部免除する条項は無効となります。(消費者契約法第8条)
(4)その他
その他、労働基準法や農地法、恩給法、などさまざまな強行法規ないし強行規定があります。
●契約書の署名(記名)と捺印(押印)
当事者の意思確認として、署名(記名)・押印します。
個人の場合には氏名のあとに印鑑を押印、
法人の場合には会社名・代表者名のあとに印鑑を押印致します。
- 記名とは、パソコンやプリンターによる印字のことをいいます。
- 署名とは、直筆による自署のことをいいます。
- 押印とは、署名(記名)のあとに印を押すことです。
不動産などの高額なものの場合や、公正証書作成の場合は実印による押印を行います。
※実印による押印の場合には、印鑑証明書の添付が原則として必要です。
捺印(なついん)も押印(おういん)と同義語ですが、最近は押印という語が一般に使用されています。
また、押印は署名の横に押すものばかりではなく、いくつかの種類があります。
※契印、割印、消印、捨印、訂正印、止め印、など
●契約書(例)
- タイトル(表題)
タイトルは契約の内容を表現するものであり、特段決まりはありません。
「契約書」としていなくても、示談書・念書・合意書・同意書・覚書などでもどのようなタイトルをつけても効力に影響はありません。
ただし契約の目的を明らかにし、紛争を予防するために、出来る限りは具体的に表示した方がいいです。
※例:売買契約書、賃貸借契約書、金銭諸費貸借契約書、など
一般には、当事者の一方のみが義務を負う場合などに、1通のみ作成して差し入れる書面として
「念書」と「覚書」の表題が多く使われています。 - 印紙
契約書には、印紙税法の定めに従い、不動産の譲渡・金銭消費貸借・ 請負契約などには、印紙を貼付する必要があります。
契約書が2通以上ある場合はそれぞれに印紙の貼付が必要です。 なお、印紙が貼付されていなくても契約そのものは無効とはなりません。 - 当事者の表示
契約の当事者を表示(記載)します。
個人の場合は住所と氏名、法人の場合は本店所在地・商号・代表者名 などを記載して当事者を特定します。
一般的には「甲」と「乙」、当事者が2名を超える場合には「丙」「丁」と して特定します。 - 前書き(前文)
なくても問題はありません。 当事者を示し、契約の主たる目的を表示します。
※例:甲乙間により、本日以下のとおり賃貸借契約を締結した。など - 本文
契約の内容を記載します。 契約自由の原則により、基本的には記載方法は自由ですが、内容は 法律により制限されているものもあります。
一般的には法律の条文のように、「第1条」「第2条」などと区 切り、以下のような項目ごとに記載していきます。
ア:目的条項
(例:お金を貸し渡した、建物を賃貸借した、商品を売買した、)
イ:契約内容
(例:利息は年率18%、賃料は月額8万円、代金は金15万円、)
ウ:契約期間
(例:令和○○年○○月○○日より令和○○年○○月○○日までとする)
エ:履行方法
(例:毎月末日限り、利息と元本1万円づつ支払う)
オ:不履行時の定め
(契約解除や違約金・遅延損害金の定めなど)
※:その他、契約書内での用語の意味を特定し、誤解を予防するために 「定義条項」などを使用する場合があります。
この場合、「本契約でにおいて、次に掲げる用語は次の定義によるものとする。」などと記載してから、用語の意味を定義していきます。
また、上記の項目を各条の前や後ろに条文見出しとしてつけると見やすくなり、検索しやすいものになります。
※例:第1条(目的)、第2条(契約内容)、など - 後書き
契約意思の確認および契約書の作成枚数などを記載して終了します。
※例:上記のとおり合意したので、本契約書原本を2通作成し、各1通づつ保持する。など - 作成年月日
絶対にこの事項は記載して下さい。
日付の記載を欠く契約書では、いつの時点での契約なのか特定が不可能なため、将来過分な紛争の原因となりかねず、欠陥契約書となってしまいます。 - 物件の表示(目録)
契約の目的物を特定する必要がある場合には、物件の表示を記載、または物権目録を作成します。そして、電化製品であれば型番、不動産であれば登記事項、などの詳細を記載します。
著作権は、特許権や商標権と異なり出願・登録することなく著作物の創作によって自然に発生しますが、著作権譲渡の際の対抗要件具備などのため登録制度が著作権法上用意されています。
文化庁への登録申請業務は、行政書士の専管業務となっています。
内容証明は郵便物の差出日付、差出人、宛先、文書の内容を郵便局が謄本により証明する制度です。また、単なる手紙とは異なり、同じ内容の文書を差出人・相手方・郵便局がそれぞれ一通ずつ所持しますので有力な証拠となります。
「弁護士に頼むことまでは考えていない」・「後々の話し合いをする前にとりあえず文書で通知をしておきたい」といった場合に内容証明郵便を利用します。
内容証明郵便を送付することは、差出人の本気度を相手方に伝えることになりますので、こちらの苦情や要望に聞く耳を持たなかった相手がそれなりの対応をし問題解決に結びつくことが多くあります。